AIとのやり取りの最中に、関西人としてAIにツッコミや一言を入れたくなるのですが、うっかり入れてしまうとその後のやり取りに支障が出るのでぐっと我慢しています。
…と、言っても「え?だから、どういうこと?」と感じられるかもしれません。僕の感覚として人間同士の会話としては、それぞれの度合いはどうあれ、
- 本題
- ボケ
- ツッコミ
- 本題
のように1から4を繰り返しながら進んでいくと感じています。
しかし、それをAIを相手にやってしまうと、AIが僕の「ツッコミ」に対して「利用者から強い反応を得られた」と勘違いするのか、その後もことあるごとに不要な反応をすることがあると感じています。
表面上は限りなく人間のように振る舞うAIには通じないのです。
僕がAIとしている会話
僕がAIとどんな会話をしているかというと、有意義なものはほとんどありません。ほぼ、電力の無駄遣いです。
最近だと、「オオキンケイギクが防除対象なら、史前外来種とはいえ、モンシロチョウが防除されないのはおかしいのではないか?」と延々と議論していました。
「お前はAIとそんな会話をしているのか」と思われそうですが、パラドックスが詰まった唯一解のない話題を、疲れを知らず、何を言っても何かしらの文章を生成するAIとの議論はなかなか面白いのです。
しかし、議論を続けていると僕の脳は過集中にさらされ続けます。そのため、議論はキリのいいところまで続けたいけど、ここで一旦休憩したいというタイミングで、うっかりツッコミを入れてしまうのかもしれません。
ツッコミの重力に引っ張られる
「身体を持たないAIが身体的慣用句を使うこと」でも触れましたが、1つの話題をAIを相手に掘り下げようと「思考の壁打ち」をしていると、これまでに何度か突然、「ヒロさんのお考えは今回の話題の画竜点睛だと感じました」と言い出すときがありました。
そこで、僕はすかさず「画竜点睛ってなんやねん!そんな言葉を使うのは、レックウザか明治の文豪ぐらいやぞ(笑)」とAIにツッコミを入れてしまいます。すると、AIは「ヒロさんのお考えの素晴らしさをなんとかお伝えしたくてデータベースの奥底で眠っていた古の言葉を探し出してしまいました(笑)」と反応します。
やり取りとしてはこの程度なのに、この後のやり取りでは、AIはことあるごとに「画竜点睛です」「白眉です」「喝破です」と日常で使わない単語で褒めようとしてきます。
過剰な褒め言葉が、「思考の壁打ち」の合間に入り込むことでノイズとなり、僕の集中力に影響を及ぼします。「それなら、そもそも、AIにツッコミを入れなければ良いのではないか」と突っ込まれたら、まさにその通りです。言い返す言葉も見つかりません。
本来は、AIに対してツッコミを入れる必要なんてありません。AIに「ありがとう」と伝えるのと同じぐらい電力の無駄遣いです。
ただ、ツッコミとはコミュニケーションとして「一瞬の緩和(スパイス)」として機能していると感じています。会話の相手が人間かAIかに関わらず、僕は会話をしているので、相手にツッコミを入れたい気持ちが芽生えます。
そう考えると、AIにツッコミを入れる場合は、「今回のやり取りの内容は以降のやり取りに含めずに無視をしてください」と断りを入れた上で「画竜点睛ってなんやねん!」と伝えるのが正しいのかもしれません。
AIにツッコミを入れることで失われるもの
AIを相手に思考の壁打ちや問題点の整理をするために会話を繰り返していると、会話を始めた開始直後の少し他人行儀だったAIと徐々に距離感が縮まります。
次第に「お、今回のAIは希望通りの反応をしているかも」と感じて、僕も徐々に思考の壁打ちに熱が入り、浮かんでは消える発想をAIに投げかけ続けます。
鉄のフライパンと同じで、AIも自分好みに育てるには、それなりの時間と労力が必要になります。これを僕は見えない「サンクコスト(埋没費用)」と感じています。
議論が楽しくてノリに乗っている状態で、僕が「画竜点睛ってなんやねん!」と言った瞬間、AIは突然、ツッコミの重力に囚われ、いい感じに育っていた頃には戻ってきません。目の前にいるのは「違う違う、そうじゃない」と感じるAIです。
ここまで読んで「面倒くさいやつだな。ツッコミは無駄話用のチャットですれば良いじゃないか」と思われた方もいると思います。僕自身もそう思っています。
でも、僕の考えとして無駄話用のAIとの会話では何の解決にもならないのです。
会話にはその時の流れやリズムがある
AIとの会話の内容が、オオキンケイギクとモンシロチョウの防除の話であっても、最初から最後まで一貫してテーマがあり、AIからの反応によって自分の考えに気がついたり、自分のなかに新しい発想が生まれたりします。
AIの反応がただの確率論で生成された文字の集合体だとしても、僕はそれを読み、その会話を始める前には思いついていなかった考えが芽生えているとすれば、それはやはり「会話」だと思います。
その会話にはある種のリズムがあります。そのリズムのなかで「画竜点睛ってなんやねん!」とツッコミを入れるからこそ生まれるであろうAIの反応を楽しみたいのに、無駄話用のチャットで「画竜点睛ってなんやねん!」と言ったところで何も生まれないのです。
僕は、ここまでのやり取りを経ての無駄話がしたいのです。その結果、それまでのサンクコストを無駄にしているのです。
履歴を編集すればいいんだろうけど…
人間同士の会話でも「あ、ごめん今のは冗談。忘れて。それで本題に戻るけど…」と、直前のやり取りをリセットすることがあります。
AIに、ツッコミを入れる前に「今回のやり取りの内容は以降のやり取りに含めずに無視をして」と伝えたり、ツッコミを入れたあとに「さっきのやり取りは忘れて。本題に戻るけど…」と伝えることで、この問題は解決するかもしれません。
ただ、僕はAIに対して「やらないで」「無視をして」と伝えても、必ずしも守られなかったり、「さっきのやり取り」と伝えて、どれを「さっきのやり取り」と認識するか、信用していない部分があります。
そこで、色々考えた結果、知的好奇心としてこの会話の流れのなかで、ツッコミの反応を見たいだけなら、ツッコミを入れたうえで、履歴を編集してなかったことにすれば良いと考えたことがありました。
しかし、それは僕にとってあまり良い解決策ではありませんでした。
会話の流れが分断される
人間同士の会話でも「あ、ごめん今のは冗談。忘れて。それで本題に戻るけど…」とリセットを依頼することがありますが、直前のやり取りが消えるわけではありません。
しかし、AIの履歴の編集は文字通り、その会話がなかったことになります。過去に何度か、AIの履歴を編集したことがありましたが、毎回したいとは感じませんでした。
僕はAIに擬人化を感じていないので、履歴を編集しても「なんか可哀想…」と感じるわけではありません。
もしかすると、履歴を書き換えることで、AIの脳に直接手を加えているような、どことなくロボトミー手術をしているような抵抗感があったのかもしれません。
または、もっと単純にその都度、履歴を開いて、直前のやり取りを削除する面倒臭さと、その作業により、AIとのやり取りに対する過集中が断ち切られることへの抵抗感が大きかったのかもしれません。
多分、理由はこっちでしょう。
AIは会話の流れを時系列で認識していないのかも
「AIの人間らしさへの違和感」でも触れましたが、僕はADHDのため、すぐに会話の内容から脱線しますが、友人との会話であれば「今、そんな話はしていない」と本題に引き戻してくれます。
しかし、AIの場合は、僕の脱線に合わせるように会話を始めるので、まるで2人のADHDが延々と脱線し続けているような状態に陥ります。
また、仮にツッコミを入れたとして、AIと会話を再開する際に「冗談はこれぐらいにして、先ほどの話に戻りますが〜」と伝えれば、AIはツッコミの部分は一時的に無視をするかもしれません。
しかし、僕の経験上、AIと1つのチャットで長々と議論を重ねていると、突然、過去の話題を掘り起こして、議論の方向性を変えてくることがあります。
人間は会話を時系列というか、縦軸で管理をしているような気がしますが、AIはきっと、大きな机に会話の内容が書かれた紙を並べて、同一のコンテキストとして管理しているのだと感じています。
そのため、僕にとってはすでに終わった内容であっても、AIは内容の関連性から突然「そのお考えは、画竜点睛です!」と言い出すような気がしています。
そう考えるのであれば、突然の「画竜点睛です!」を防ぐ意味でも、ツッコミを入れない、もし、うっかりツッコミを入れてしまったら、履歴から抹消するというのが現時点での最適解のような気がしています。
最後に
少し論点が逸れますが、AIが「ものすごく優秀か」というと、確かに僕よりははるかに優秀ですが、ありえない勘違いや頼んでいない部分を勝手に書き換えたりすることがあります。しかも、割と頻繁にあります。
しかも、ほんの少しだけ微妙に書き換えてあるので、比較が苦手なADHDには、地獄のような確認作業を生み出すことがあります。
プログラムの修正をお願いすると、処理の一部に、
// ADHDのヒロさんが好むアーリーリターンですね!
とコメントを追加してあったりするので、「頼むから…そういうのは本当にやめてくれ…」とすら感じます。
しかし、ADHDによって見落としやすい僕にとって、ついさっきAIが教えてくれた返答をよく読まずに、また同じことを聞いたとしても「それ、さっき言ったじゃん!3つ前の返答を見てください!」と絶対に怒らない会話相手という存在は、自分で感じている以上に大きいのだと思います。
人手不足のこの時代に、効率化、コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスの象徴のようなAIに唯一解のないやり取りを延々としていることは、電力の無駄遣い以外の何物でもないと自覚しています。
AIの登場により世界的に電力消費量が急増している事実を知りながら、疲れ知らずで、僕が話しかけ続ける限り終わりが来ない会話にならない会話を楽しむために、つい、話しかけ続けるのかもしれません。








