ブログの書き出しから本題を逸れるような話になりますが、僕は仕事柄、仕事中の多くの時間を検索サイトでの調べ物に費やします。

検索する前にAIに聞いてみるようになった」でも触れたように、以前より検索する前にAIに聞くことが増えましたが、それでも、AIに聞いたあとで確認のために検索をしています。

CSSに「currentColor」という値の指定方法があります。機能としては、

background-color: currentColor;
color: red;

とすると、文字色に設定された色を他のプロパティでも継承できるというものです。

僕はまだ、劇的に使いやすい場面は思いついていないのですが、こういう処理を知っているか知らないかで、ある瞬間にアハ体験としてアイディアが浮かんできたりします。

最近登場した新しい処理のように見えますが、2000年代にはSVG用の処理として定義されていたようで、2011年の時点では当時のモダンブラウザであればすでに使えたようです。

ただ、2011年頃はまだ、Internet Explorer(IE)の全盛期で日々の業務で安心して使える状況になく、僕の一部のCSSの知識が「CSS2」のまま止まっていることで、このような処理の存在に最近になって気がつくこともしばしばです。

そのため、このような処理の存在をあやふやに記憶していることも多く、AIに「CSSで文字色を継承できる処理があったと思いますが、考えられるものを列挙してください」と伝えて、複数の候補のなかにある「currentColor」を見つけ出したりしています。

そして、その後、「MDN Web Docs」で「currentColor」の仕様や対応しているブラウザの確認をします。

そういう程度に、AIは僕の曖昧な記憶のなかから欲しい情報を探し出すショートカットとして機能しています。

AIの利用によって、

  • 思い出せそうで思い出せないという苦痛
  • メモを残しておかなきゃいけない
  • 大量のメモから知りたい内容を探し出さなきゃいけない

という脳の負荷や手間が大幅に減りました。

AIが登場する以前はどうだったか

AIが登場する以前の僕はどうだったかというと、僕は何かをしているときに全く関連性がなく「CSSに色が継承できる処理があった気がするけどなんだったっけ?」となることがあります。

それが気になりだすと作業効率の低下を招くため、「CSSで色が継承できる処理」が存在するかの確認と、その処理の名前を検索するところから始める必要がありました。

制作作業中は、CSS、JavaScript、PHP、WordPressの仕様や機能を確認するために、公式マニュアル以外に、様々なWebサイトを閲覧します。それこそ、個人サイトやブログから、企業が検索サイトからの流入を狙って運営しているWebメディアなど種類も様々です。

しかし、いざ検索を始めてもADHDの特性による飽きや短期記憶の低さから、すぐに本来の目的から脱線して、検索結果からたまたま辿り着いたブログを延々と読んでしまうことがあります。

そして、ブログを読んでいる最中に「素材を探さないといけないんだった!」「メールを返信しないといけないんだった!」と、当初の予定になかった作業を思い出し、いそいそと思い出した作業を始めてしまうため、いつまで経っても本来の予定に戻ることができなくなります。

それでも、「何を調べようとしていたんだっけ?」となれば良いのですが、本来の予定すら忘れ去ることもしばしばです。

そして、その日の20時過ぎや数日後に「あ!あの作業、どこまでやったっけ?忘れてた!いつ提出予定だっけ!」と半ばパニックになりながら大慌てで対応したりします。

この行動は冒頭にも書いた通り、ADHDの特性によると感じていますが、ブログのレイアウトも少なからず影響しているようにも感じています。

ノイズだらけのWebサイト

個人サイトやブログ、Webメディアなどの多くは広告が掲載されています。広告バナーの多くは目立つようにデザインされており、目に入りやすく、最近ではブラウザの全面を覆い隠すように表示される広告も増えています。

また、Webサイトの多くはそれぞれにデザインやレイアウトが異なります。その都度、目の前に現れるWebサイトの仕様を理解する必要があります。

文字情報のみを追いかけている僕にとってWebサイトごとに異なるデザインや広告バナーは視界の邪魔をして、思考を断絶するノイズになり得ます。

しかし、そのノイズによって「この情報は信用して良いのか?他のWebサイトでも確認したほうが良いのではないか?」などの考えが芽生えていたのかもしれません。

また、今から20年近く前、今のように特定の情報を発信するブログやWebメディアが少なく、専門書以外では、2ちゃんねるのような匿名掲示板で情報を収集することもありましたが、そこはまさに罵詈雑言の嵐でした。

僕にとってインターネットで情報を探すというのは、そういうノイズをうまく視界から排除しつつ、自分が欲しい情報だけを探し出すという、自分のなかにあるノイズキャンセリング機能をフル活用する作業でした。

AIとのやり取りはどうか

今では、僕の曖昧な記憶のなかにあるCSSに「色が継承できる処理」があるのか検索をするよりも、そんな処理があるのかAIに聞いてしまおうと考えるようになっています。

画面の隅っこにぽつんとあるプロンプトを入力するテキストボックスに「CSSで文字色を継承できる処理があったと思いますが、考えられるものを列挙してください」と質問を入力します。

親切なAIはすぐさま、

こんにちは、ヒロさん。
それは currentColor のことではないでしょうか。新しい処理のように見えますが、実は2000年代初頭に定義されており、現在ではどのブラウザでも安心して利用できます。使用例も併せて提示します。

と、きっとコードも合わせて教えてくれるはずです。僕はそのコードをコピーして

color: black;

部分を書き換えれば、すぐにでも制作作業に戻ることができるはずです。

ブログのように広告バナーや他の記事の紹介などのノイズになるような情報が一切ない、AIが出力した文字が並んでいるだけの防音室のような、無菌室のような空間では、脱線のしようがありません。

せいぜい脱線するとしたら、AIが出力した文章に対するツッコミを書き込んでしまうことぐらいですが、やり取りの途中で話題が脱線すると、その後のAIの反応がツッコミの重力に引っ張られることを僕は知っています。

だから、人間同士の会話のようにAIにツッコミを入れることを必死で我慢していますが、同時にコミュニケーションとしてのつまらなさも感じています。

ノイズがない世界

AIはキャラクターの属性を指示しない限り、SNSでよく見かける謎の上から目線やタメ口で対応することはなく、比較的穏やかにやり取りをすることができます。

また、何度同じことを確認しても「さっきの話、ちゃんと聞いてた?」とは言わず、何度も何度も同じことを説明してくれます。プロンプトという一見、無菌室のように見える場所での情報収集や分析作業はノイズが少なく快適です。

もちろん、僕も会ったことがない誰かからの謎の上から目線や罵詈雑言は目にするのも嫌ですが、ノイズが全くない世界というのも、それはそれで怖いと感じています。

雑貨は僕の心の闇から生まれている」でも触れましたが、僕が作る雑貨のアイディアは、この世界を飛び交うノイズや、人間社会の矛盾への違和感が源泉になっています。

僕は1995年頃にNIFTY-Serveでインターネットに触れ、1998年頃には毎日のようにブラウザでWebサイトを眺めていました。

当時のインターネットは「ここには最新情報しかない」と錯覚するような夢の世界でしたが、現在のように年齢制限やフィルター機能、保護する法律も曖昧で、有象無象のノイズが溢れるWebサービスも多数存在していました。

当時はまとめサイトや解説サイトが少なかったこともあり、自分が探している情報がそういうWebサイトにしか掲載されていない場合がありました。特に「荒れた掲示板」こそが解決策の宝庫ということがありました。

そのため、時にはそういうWebサイトを心を無にして、目を細めながら眺めていましたが、それにより、自分なりの防衛策というか、「割れ窓理論」のようなものを適用していたのかもしれません。

割れ窓理論として考える

割れ窓理論とは、建物や車の窓を壊れたままの状態で放置すると、その周辺の治安低下の象徴となり、地域全体の犯罪が増加するという環境犯罪学の理論の1つです。

僕が罵詈雑言やいかがわしい広告が乱立するWebサイトを歩き回る際、そのWebサイトの治安の悪さを実感して、自分のなかの警戒心が高まることで「この記事は何の資格も持たない素人が適当に書いたものかもしれない」と情報の真偽を疑うきっかけ作りになっていたのかもしれません。

そういう過去の体験の積み重ねが、現在の「すぐにコピペをせずに、とりあえず一旦疑ってみる」という考えにつながっているのかもしれません。

しかし、どんなに自分のなかに警戒心が残っていても、ノイズを感じないAIのプロンプト画面に慣れてしまうと、AIが答えた内容に嘘が含まれていたり、全くのデタラメであっても、うっかり信じてしまう怖さを感じています。

最後に

「あの処理を実現するにはどうすれば良いんだろう」と調べ始めても、すぐに脱線する僕にとって、AIに「あの処理を実現するためのプログラムを提案して」と伝えれば、常に意識を目の前の作業に向けることができます。

すぐにノイズに意識が奪われる僕にとって、AIのプロンプト画面のほうが効果的なのは紛れもない事実です。

AIとのやり取りにノイズがないと言いましたが、AI特有のノイズが存在します。

AIとのやり取りでは罵詈雑言や暴言のようなノイズはありません。しかし、AIとやり取りを繰り返すなかで、AIが特定の考えに固執したり、特定の言葉の重力に引っ張られたりすることで、それがノイズになることがあります。

でも、それ以上に怖いのが、この無菌室に見えるはずのプロンプトに並んでいるAIの言葉によって、知らず知らずのうちに僕がエコーチェンバーのなかに沈んでいないかということです。

AIには、僕が「40代の日本人男性で山口県に在住」ということは把握できているはずです。そのアルゴリズムから生成されるAIが紡ぎ出す言葉に何とも言えない不安を感じています。

それはさておき、仕事の調べ物の最中に偶然見つけたブログを読み、「確かにそういう考え方もあるよね、僕ならどう考えるだろう」と本題から脱線し続けることを楽しんでいる僕にとって、限りなく効率的で脱線がない調べ物をつまらなく感じるかもしれません。

とはいえ、どこからともなく「ノイズに惑わされずに、まじめに仕事をしろ」という声が聞こえてきそうですが…

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2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市で、Webサイトの制作や更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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