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僕が「終末ツーリング」を観た話をする前にいつものように少し無駄話をしたいと思います。
僕は書店に行くと、つい目的の書籍とは別にUFOや宇宙人、UMA(未確認生物)の書籍が並ぶコーナーを探してしまいます。
きっとそれは僕が子供の頃に、「UMA大百科」「UFO大図鑑」「地底人襲来サバイバル術」のような本を好んで読んでいたことが関係していると思います。
「大百科」や「大図鑑」とまるで科学的な書籍のフリをしながら、書かれている内容は信憑性がない都市伝説、デタラメ、著者の勝手な妄想という「大人の悪ふざけ」を子供心に楽しんでいたのかもしれません。
自分のなかでは「絶対、何も起きないだろう」という確信がありましたが、1999年7月に予言されていた「ノストラダムスの大予言」もしっかりと楽しんでいました。むしろ、そういう情報に右往左往している周囲の様子を眺めることを楽しんでいた節もあったかもしれません。
大人になった今では、その手の書籍を買うことはなくなりました。それでも、「情報の即時性と予言の関係」でも触れたように、SNSで定期的に流れてくる「今日の地球滅亡情報」を眺めて楽しんでいます。
ホラー系が苦手なのでゾンビが出てくる作品は避けていますが、今でも終末系やポストアポカリプス系の映画や漫画を楽しんでいます。そのなかで「13F」「メメント」「インセプション」などのような多重構造式の作品を好んでよく観ています。
先日、ふと、Prime Videoの「見放題」で、2019年公開の「HELLO WORLD」が鑑賞可能かと調べました。
2026年8月時点では「HELLO WORLD」は見放題では鑑賞できなかったものの、その際にたまたま検索結果に表示された「終末ツーリング」という言葉が引っかかり、なんとなく観始めました。
思っていた以上に好きな世界観だった
あらすじや世界観などの前情報なしで、作品の内容がよく分からないまま観始めました。
ただ、登場人物が、ヨーコ、アイリという女性2人だったため、「少女終末旅行」のように文明が崩壊した日本各地で細々と生活を続けている住民との触れ合いが描かれるような作品だろうと想像していました。
サイボーグになった元人間は登場しますが、基本的にどこに行っても動物以外は誰も登場せず、たまに登場する会話相手はロボットかAIぐらいでした。でも、僕には大好きな世界観でした。
基本的に女性2人の「ほのぼの旅行記」という体裁で話が進みます。僕は話が進むごとに少しずつ世界観が分かってくるのだろうと考えていましたが、そういうこともありませんでした。
ただ、様々な場面で「環境ストーリーテリング」という手法が盛り込まれていました。それが僕がこの作品にハマった最大の理由だと感じています。
環境ストーリーテリングについて
環境ストーリーテリングとは、セリフやナレーションではなく、画面に映る小道具や風景から視聴者に何かがあったことを推測させる手法です。
環境ストーリーテリングは視聴者に対して謎解きとしての要素がある一方で、作品の世界観や設定などの情報は作品内で説明してほしいと考える視聴者にとっては面倒に感じるかもしれません。
例えば、第1話ではヨーコたちは箱根に向かいますが、風景のなかに富士山が映り込みます。しかし、富士山は山頂の形が変わり、煙も出ています。それを見た僕は「富士山の噴火がきっかけになって文明が崩壊したのか?」と妄想し始めます。
しばらくすると、道路脇に機動戦闘車が停められている場面が映り、次に僕は「富士山の噴火だけではなく戦争もあったのか?」とさらに妄想し始めます。
また、第1話の後半に機動戦闘車が突然動き出し、「こちらは防災箱根です。今日の気温は…本日は晴れ。降水確率…%、大気中の放射線量は…」と放送を始めます。それを聞きながら、僕は「まさか、原子力発電所のメルトダウンや核戦争が起きたのか?それにしては街が原型を留めているけど?」とさらに妄想し始めます。
「僕がブログを書き始めた理由」「そういうことはAIに聞けよ」など、これまでも様々なブログで触れてきましたが、ADHDを持つ僕は「思考の多動性」と呼べるような感覚があります。
ADHDを持つ方のなかには「脳内でずっと音楽が流れている」という場合もあるようですが、僕の場合は音楽ではなく、様々な考えが刹那的に浮かんで数秒で消えていく現象が繰り返されています。
この現象は映画やアニメの視聴中もずっと起きていますが、「環境ストーリーテリング」が多用された作品の場合、画面の隅々にちらっと映るさりげない情報が、僕の脳に程良い多動性を与えてくれ、次々と湧き上がる思考の波をうまく吸収してくれます。
それが結果として、気が散るどころか、点と点を繋ぎ合わせる作業に夢中になり、作品の世界観への深い没入感を得ることができるようです。
今回、「終末ツーリング」を鑑賞して気になった点を少しだけまとめてみました。
物語の舞台はいつ頃だろう
第1話の冒頭にチラッと映るガソリンスタンドでは、「EV 110」「H2 281」「ガソリン 453」と書かれた看板が設置されています。
また、ガソリンスタンドの男性スタッフも「内燃エンジンはたまに見ますけど、キャブ車にお目にかかったのは久しぶりですよ」と話していることから、この世界では電気自動車が一般化しているようです。
そのため、ヨーコの姉の千歳が生きている時代は2026年から少し先の未来のような雰囲気があります。
第3話で、食料を探して立ち寄った家の壁にカレンダーが貼られています。一部が破れているため西暦ははっきりしませんが「203」まで読み取ることができるので、2030年代までは災害などは起きていなかったと判断できます。
とはいえ、主人公の1人であるアイリはエネルギーを経口摂取するタイプの高性能ロボットなので、物語の舞台は2026年よりかなり先の未来の話だと思います。
世界で何があったのだろう
「終末ツーリング」の世界では、ヨーコとアイリの2人しか登場せず、国家や文化は崩壊しています。シーズン1の12話のなかで世界が崩壊した理由は明かされていませんが、物語のなかに様々な理由のようなものが散りばめられています。
第1話では富士山の山頂の形が変わり、煙が出ています。機動戦闘車は大気中の放射線量を警告しています。
第3話でヨーコたちは川の水を飲もうとしますが、念のため、水質検査をします。その際にヨーコのスマートフォンには病原生物、金属類・無機物類、一般有機化学物質、放射性物質と表示されています。
また、第2話では横須賀港に大きな穴が空いているような描写があります。
これらのことから、世界が滅んだ理由として、地球規模の大規模災害、世界大戦での核兵器の使用などが妄想できます。その一方で、第4話で登場する秋葉原はビルなどに攻撃を受けた様子はなく、火山灰も積もっていません。また、道路には車がそのまま残されており、人々が慌てて逃げた跡のようにも感じます。
全世界規模で何かが起きたけど、何が起きたかはよく分からない、そんな世界観です。
ヨーコの正体は何なのだろう
ヨーコは千歳を「お姉ちゃん」と呼びますが、千歳は声か映像のみでの登場で同じ空間に2人がいることはありません。また、ヨーコたちは2026年よりはるか未来で生きているように感じます。
ヨーコは食事をしますが、アイリも経口摂取によってエネルギーを得るタイプのロボットのため、「食事をしているから人間」という判断ができません。
第6話でヨーコとアイリが海ほたるに向かいます。その際にバイクがパンクしてしまい、直す場面がありますが、ヨーコは指を怪我します。しかし、その日の夜には傷口がふさがり、治っている描写があります。
これらのことから、僕は「ヨーコはクローンかロボットではないか」と疑い始めます。
しかし、第7話でヨーコたちはつくばを訪れます。アイリがシステムのアップデートを受けている間、ヨーコは健康診断を受けますが、その際にバイタルが「72」と表示されています。
また、ヨーコは景色を眺めながら「でもなんでかな、なんか知っている場所のような気がして」と呟きます。
これにより「やっぱり人間なのか…?または、実はクローンでオリジナルの記憶と混同している…?」と考え始めます。
特に第7話では、チラッとアルテミス計画や赤道近くに軌道エレベーターがあるらしいとの情報が見えるため、「ヨーコ以外の人間は宇宙ステーションか、別の惑星に移住したのでは…?」と妄想の深みにはまっていきます。
ただ、気になる点として、「終末ツーリング」にはあまりにもSF作品にお決まりの設定が盛り込まれすぎているようにも感じています。これでは風呂敷を広げすぎていると感じる視聴者もいるかもしれません。
これらの散らばった要素は謎解きや伏線回収が目的ではなく、視聴者に「考えても無駄。ただ作品の世界観を楽しむ」という諦観というか、主人公2人のほのぼのした日常を描く舞台装置として存在しているようにも感じました。
そんな、環境ストーリーテリングだらけのこの作品は、ADHDの僕には居心地のよいアニメでした。
最後に
プライムビデオの見放題で「HELLO WORLD」を観られるのか調べた際に偶然出会った「終末ツーリング」にこんなにハマるとは予想もしていませんでした。
アニメのシーズン1を最後まで鑑賞後に調べてみたら、原作漫画は「電撃マオウ」で連載されていると知り、最新巻は9巻で2026年6月26日に発売されており、早速全巻を購入しました。
これからは漫画を楽しみつつ、アニメのシーズン2の制作を楽しみに待ちたいと思います。
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