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ADHDと共に生きる僕は、様々なものの名前が覚えられません。しかも、知り合いに杉山さん、杉原さん、杉村さんのように似たような名字の方がいると、普段から顔を合わせていても目の前の方が誰だか分からなくなることがあります。

それは映画でも同じで偶然知った映画をあとで観ようと動画配信サービスのウォッチリストに入れたまま、そのことを忘れて、映画の名前も忘れて、数年が経過していたりします。

そんな僕がADHDの衝動性により、2026年7月から突然、浴びるように動画配信サービスで映画を観始めた際に、ウォッチリストに入っていたのが、2013年に公開されたトム・クルーズ主演の「オブリビオン」でした。

思い出したタイミングで観ておかないと、次に思い出した時にはプライムビデオの見放題で配信されていないかもしれないし、なにより、ADHDの特性で次に思い出すのは10年後になるはずなので、早速観ることにしました。

予想通りの大好きな世界観だった

以前、予告編を観た際に僕の好みだと感じていましたが、実際に観てみると荒廃した地球の終末感と適度な環境ストーリーテリングが僕には心地よい映画でした。

映画冒頭に世界観が少し明かされますが、簡単にまとめるとこんな感じです。

  • 物語の舞台は2077年3月14日から始まる
  • 60年前に地球外知的生命体(スカベンジャーズ / スカヴ)の侵略を受ける
  • スカヴが月を破壊したため、地球では大地震と津波が発生し、壊滅的なダメージを受ける
  • 人間は勝利するが核兵器を使ったため地球では暮らせなくなり、土星の衛星・タイタンに移住している

人類がいなくなった地球で、ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)はドローンの修理、ヴィクトリア・オルセン(アンドレア・ライズボロー)は通信担当士官として、海水をエネルギー化するプラントと警備ドローンの管理のために地球で任務に就いています。

ただ、映画中盤で物語の謎が一気に明かされます。

(以降は、ネタバレになるので、引き返すならここが最後のチャンスです)

映画冒頭の説明は全て地球外知的生命体(テット)が、ジャックとヴィカを都合よく動かすための2人への嘘で、実際はこんな感じです。

  • スカヴ(敵)だと思っていたのは生き残った人類で、タイタンに移住していない
  • ジャックとヴィカはテットによって量産されたクローン人間

このような意図的なミスリードはSF映画ではよくある設定や構造です。そして、この手の映画では謎が明かされるまでに、環境ストーリーテリングとして、ちょっとした違和感が仕組まれています。

最初に感じたのは、タワーや偵察機の異様な美しさとヴィカの態度でした。

最初の違和感はヴィカの態度だった

荒廃して黒色の砂に覆われた世界に対して、2人が暮らす全面ガラス張りのタワーと「ベル47」のような偵察機、怒った顔のようにも見える真っ白なドローンが飛び回っていました。

そういう意味で世界の状況に対して、ジャックたちの身の回りのものがあまりにも綺麗すぎると感じましたが、「オブリビオン」が「2001年宇宙の旅」のような芸術映画の一種かもしれないと考えて、その世界観を受け入れて観ていました。

しかし、ジャックがヴィカに花をプレゼントした際に、ヴィカは躊躇うことなく規則違反だと言って即座に捨ててしまう場面で、それまで感じていた違和感がより強くなりました。

作中でジャックはヴィカに何度かタワーからの外出を促しますが、規則違反だと言って頑なに断ります。映画冒頭で「任務1642日目」と分かりますが、普通に考えて、どんな人間でも任務とはいえ4年5ヶ月以上もタワーから一歩も出ないなんてことは心理的に無理なはずです。

そんな規則に厳格過ぎるヴィカに対してジャックは偵察機にボブと名付けた首振り人形を取り付け、前時代の遺物を集め、ヴィカやサリーの監視を掻い潜り、自分の好きなものだけを集めた小屋まで建てています。

でも、2人がクローン人間だと思って考えると、2人はテットによって記憶の改ざんが行われているはずです。

ただ、ジャックは、ドローンの故障やスカヴに対応するために臨機応変さが求められます。また、前時代の遺物を集めたり、時折、変な夢をみる様子が描かれています。

これは、オリジナルがテットに回収された際の記憶などは消しつつ、それ以外の不都合な記憶は思い出さないように調整されているのかもしれません。

ただ、ヴィカは、好奇心や探究心、自主性などから命令を無視して行動しかねないジャックを抑制する役目として、規則に厳格に従うように調整されているような気がします。

侵略者としての人間味を感じない

「インデペンデンス・デイ」「世界侵略:ロサンゼルス決戦」「バトルシップ」では、エイリアンが登場して、侵攻によって地球を占領しようとする様子が描かれます。

見た目や種族が違うとはいえ、生物としての人間味みたいなものを感じますが、「オブリビオン」では物語が始まった時点ですでに侵略が終わっています。

モーガン・フリーマンが演じるスカヴのリーダー・マルコムの話では、テットが月を破壊したことで地震と津波が発生して壊滅的な被害を受けた後、テットから数千人のジャック・ハーパーが襲来したことが語られています。

一応、映画終盤に姿を見せますが、テットを小さくしただけで同じ四面体で、地球外知的生命体なのか、デジタル生命なのか、AIなのかはっきりとしません。

ただ、ジャックとヴィカに指示を出す姿は、かつてのジャックとヴィカの上司だったサリーの姿、声を模倣しています。これは、2人がオリジナルの記憶を思い出した際に、サリーに指示されていると思い込むことで記憶の混乱を防ぐ要素があるように感じます。

地球への侵攻は自分たちの手を汚さずに、侵略後は地球に移住するわけでもなく、ジャックとヴィカにドローン修理を任せて数十年間、海水を吸い上げ続けたことを考えると、徹底して資源採取としての「運用」に特化している感じがします。

タイタンへの移住を心待ちにしている5年間の勤務も、きっと、任期が終了した時点で処理されて新しいクローン人間が送り込まれるのだろうと思います。どことなく「月に囚われた男」と同じ残酷さを感じます。

侵略者は母船内部から吹っ飛ばす

映画の終盤でジャックとマルコムがテット内部に侵入します。それはもちろん、侵略系SF映画のロマンでもある侵略者の母船の内部でオデッセイ号から入手した小型原子炉を爆発させて破壊するためです。

これは、「スター・ウォーズ」「インデペンデンス・デイ」に連なるSF映画お得意の「外からの攻撃にびくともしない巨大な宇宙船は内部から破壊してしまえ」の系譜です。

そういう意味で、「内部に招き入れる前にしっかりと持ち物をスキャンしろよ!セキュリティリスクはどうなっているんだよ!」なんてことをつい考えてしまいますが、そんなことを考えるのは野暮です。

ただ、僕は、テットの内部に基地があり、そこでは、自我を消されたジャックやヴィカのクローンたちが働かされていると考えていましたが、そんなことはなく、テット内は壁にドローンとクローンの培養カプセルが取り付けられた殺風景な感じでした。

徹底して生活感がない存在でした。

最後に

作中の主人公のジャックは「TECH 49」と名乗っており、49号と分かりますが、作中で52号が登場します。つまり、この世界には少なくとも50人以上のジャックが偽りの汚染区域によって決して交わることなく生活しているはずです。

テットが破壊されたことで、毎朝、サリーからの「あなたたちは最高のチーム?」と聞かれることがなくなり、新しい指示もなく、食料の供給も止まるだろうから、そんな状態でどうやって過ごしていくのだろうと妄想したりします。

52号はしれっと49号が建てた小屋にたどり着き、他のジャックに関しても持ち前の好奇心で生きていけるかもしれませんが、ヴィカはタワーから出ることができないので餓死するかもしれません。

ただ、もしかすると、ヴィカは毎朝、サリーから聞かれる「あなたたちは最高のチーム?」に即答できなくなる恐怖心から、規則を破ることができなかったのだとすると、サリーからの指示がなくなることで、興味が外の世界に向くことを願うばかりです。

ここまでどうでも良い妄想をグダグダと話してきましたが、僕個人としてはこの映画の楽しみ方は別の部分にある気がしています。それは、2013年時点で51歳のトム・クルーズが、まるで30代から40代前半のような雰囲気を見せていることです。

とはいえ、2001年に公開された「バニラ・スカイ」では、キャメロン・ディアスとイチャイチャして、まるで20代のような雰囲気を醸し出していますが、あの時点ですら、すでに39歳なので、プロ意識が高すぎる恐ろしい俳優だと思います。

記事内に映画、漫画、ゲームなどのネタバレが含まれる可能性があります。

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