2022年5月に臨床心理士さんによるカウンセリング、心理検査を受けて、ADHD(注意欠陥多動性障害)との診断を受けました。

子供の頃から「覚えることが苦手」「すぐに忘れる」との自認はありましたが、「きっと他の人もこんな感じなんだろう」ぐらいに考えていましたが、ちょっと色々なことが重なり、タイミングもあって、2021年末に「心理検査を受けてみよう」と決意するに至りました。

ただ、心理検査を受けようと心療内科がある病院に確認をしたところ、多くの病院では「小中学生の心理検査のみ」「カウンセリング専門」と断られ続け、大人の心理検査に対応している病院を探すのに苦労し、心理検査の受診日が確定するまでに、心理検査を受ける決意をしてから半年近くを要しました。

心理検査を受けた直後は「わざわざ自分の病気を公表する必要はない」と考え、家族、親友を除いて誰かに言うことはありませんでした。

ただ、心理検査後に様々な書籍、ブログなどを読んだことで、自分ができる対策などを考えるきっかけになりました。

そこで、僕の経験が誰かの役に立つかもしれないと考え、ブログにまとめることにしました。
この2年間の経験は、定型発達の方からすればものすごく微々たる変化ですが、僕にとっては大きな変化です。

心理検査を受けてみた

間違い探し」「積み木で例と同じ図形を作る」、臨床心理士さんが言った数字を「小さい準備に並び替える」「大きい順に並び替える」など、様々な試験を2時間以上かけて受けました。

その結果、知覚統合(PO)、作動記憶(WM)が低いと判断され、「ADHDの可能性が高い」と診断されました。

臨床心理士さんから「ADHDの可能性が高い」と告げられた際に、「ADHDの方なら長時間、心理検査を受けると途中から集中力が切れてることが多いですが、最後までしっかりと心理検査に取り組まれておられ、すごく素晴らしいことだと思います」と褒められました。

40歳を過ぎて褒められました(2回目)。

自分なりの対策

心理検査によって「ADHDの可能性が高い」と診断を受けても、その後の僕の生活が大きく変わることはありません。そこで、自分なりに対策を行う必要がありました。

スマートフォンとの付き合い方

特に調べるものがないのに、無意識にスマートフォンを触ってしまうことがありました。そこで、まずが僕が取った対策は、

  • スマートフォンを置く場所を限定する: スマートフォンは作業部屋に置いておく
  • アプリの使用時間の制限: 「Digital Wellbeingと保護者による使用制限」を利用して、アプリ使用時間を制限
  • フォーカスモードの活用: 23時以降はフォーカスモードで特定アプリの使用を制限

です。

スマートフォンを置く場所を限定する

やることもないのにダラダラとスマートフォンを触っているうちに0時を過ぎていることもしばしばでした。また、それを毎日繰り返しているうちに、次第に習慣化してしまい、ゲームをする時間、睡眠時間が減る悪循環に陥っていました。

ADHDには「衝動性」「依存性」などがあり、「ゲームを始めるとなかなか止められない」ことがあるそうで、無意識にスマートフォンと触ってしまうのも、それらが要因ではないかと考え、スマートフォンが目に入らないようにするため、「スマートフォンは作業部屋に置いておく」を徹底していました。

ただ、次男が中学生になったタイミングで、長男、次男がスマートフォンを持つようになり、ペアレントコントロールの関係で、僕のスマートフォンで操作で操作しなきゃいけないことがあり、なるべく近くに置いておく必要が発生しました。

そのため、「なんとか対策をせねば…」と色々調べた結果、Androidには「フォーカスモード」というアプリの利用、通知を制限する機能があることを発見しました。

アプリの使用時間の制限

そこで、つい触ってしまうアプリを「Digital Wellbeingと保護者による使用制限」で1日の利用時間の制限を設定し、その上で23時から7時まで「フォーカスモード」を設定しました。

これにより、特定のアプリが利用時間以上になると起動できなくなり、また、1日の利用時間以内でもフォーカスモードによって、夜間の利用が制限され、ダラダラと見ることを防げるようにしました。

ただ、「Digital Wellbeingと保護者による使用制限」は、利用時間を超えても簡単に解除でき、「フォーカスモード」は「アプリを5分だけ使用」を押せば、利用できるため、制限の強い機能ではありません。

それでも、解除したい気持ちをグッと我慢をして、「スマートフォンをつい触ってしまう」習慣を、「この時間を過ぎると触らない」習慣に置き換えようと頑張っています。

マルチディスプレイ(マルチモニター)について

日々、Webサイトを制作業務を行っていますが、PCで作業をしていると、例えば、修正作業が10点あると、ほぼ毎回3点程度の作業漏れが発生したり、依頼内容とは異なる解釈で修正作業を行ってしまうことがありますが、これらは、知覚統合、作動記憶が低いことが影響していると考えています。

例えば、メールなどで「青色を赤色にする」との修正指示を確認後に、メールからデザインアプリに切り替えた数秒の間に「あれ?どの部分を赤色にするんだっけ?」となり、何度もメールとデザインアプリを切り替える作業を繰り返します。

そして、5箇所の青色を赤色に変更しなきゃいけないのに、2箇所を見落とし、3箇所しか赤色に変更しない、などの問題が定期的に発生していました。

そこで、PCにディスプレイを2台接続し、1台のディスプレイは制作作業専用、もう1台のディスプレイはメール、PDFファイルなど制作作業以外の表示用として使用し、画面の切り替えによって忘れてしまう問題に対応することで、現在では、修正作業が10点あると、毎回ではなくたまに1、2点の作業漏れが発生程度まで抑制することができました。

ただ、「初めての情報、複雑な情報を見聞きすると1度で覚えることが難しい」「注意深く確認しようとすると1度に注意を向けられる範囲が狭い」などの影響で、マルチディスプレイだけでは対応しにくい部分は、修正指示のメールは可能な限り印刷し、対応が終わった部分にチェックを入れるなど、複数の確認作業を行うことで、最近では作業漏れが発生することもかなり減ってきました。

スマートフォンの機能に助けてもらう

毎日飲む必要がある薬はスマートフォンのタスク機能に「10時に薬を飲む」と設定し、制作作業に集中してしまうと過集中状態になり、瀬作作業を止めるタイミングを見失うため、スマートフォンのアラーム機能で19時にアラームが鳴るように設定しています。

スマートフォンのタスク、アラームに気が付かなかったとしても、通知が残るため、通知に気がついた時点で薬を飲んだり、「PCのシャットダウンをする」と気持ちの切り替えができます。

もし、毎日、家族に「19時ですよ!仕事を終わってください!」と言ってもらったとすると、ADHDの特性上、「今!手が離せない!うるさい!黙れ!」と怒りの感情をぶつけてしまう可能性が高い気がしますが、スマートフォンだとイライラすることがなく、そして、何よりスマートフォンは同じことを何回でも通知し続けてくれるので、家庭内は平和そのものです。

「面倒だから後でしよう」を止める

今までは「面倒だから後でしよう」と考えて、後回しにした結果、その事を忘れて、誰かに怒られるみたいな流れでしたが、「特性ですぐに忘れてしまうから、今のうちにやっておこう」と意識するようになりました。

もしかしてあれもADHDのせいだった?

自分で感じていた感覚の1つに「言葉が持つ意味へのこだわりが強い」と感じる部分があり、例えば、SNSなどでフォローが「友達」という名称だった場合、「俺はこの人と友達なのか?」と悩みフォローできなかったり、友人が悩みなどをポストしていると「これは『いいね』じゃない」と「いいね」ボタンが押せなかったりします。

それでいて、ADHDの特性によって見落としやすく、メールなどでは定期的に誤字脱字をしがちなのに、メールの送信後に誤字脱字に気が付き、「やってしまった」としばらく立ち直れなかったりします。

本当に自分でも自分が面倒くさいです。

メモをしたいときにメモ帳が手元にないと困るので、常にメモ帳を持ち歩いていますが、ふとした瞬間にメモ帳をどこかに置いてしまい、メモ帳を探すこともしばしばあります。

そこで「スマートフォンはどこかに置いても電話をかければ音が鳴るのですぐに見つかる」と、スマートフォンのメモアプリを利用していますが、スマートフォンを触った瞬間にメモをすることを忘れて、Instagramを延々と見ていた、何ても事もしばしばです。

本当に自分でも自分が嫌になります。

心理検査を受けてみて

子供の頃から「忘れ物が多い」「うっかりミスが多い」「整理整頓が苦手」「部屋の床に物が散乱している」な問題を抱えており「大人になったらできるようになるかもしれない」と信じて生きてきたものの、そんなことはなく、これからも「忘れ物が多い」「うっかりミスが多い」「整理整頓が苦手」「部屋の床に物が散乱している」を抱えて生きて行くことが確定しました。

ただ、子供の頃から「なんでこんな簡単なことができないんだろう」と自分を責めていたことが、「これはADHDのせいだ!俺は悪くないんだ!」と、ADHDに責任転嫁できるようになったことは心の負担を大きく軽減するきっかけに繋がりました。

そして何より、僕が何かをやらかしても、妻は「開けたら閉めて!」「部屋を片付けて!」というタイプではなく、食器棚の扉を閉め忘れていても「開いてますよー」と教えてくれたり、仕事部屋も足の踏み場がギリギリあれば何も言わないため、日常生活の中で、ADHDの不便さを実感することが少なかったんだろうと感じています。

また、臨床心理士さんからの説明を一緒に聞いた妻が今まで以上に「仕方なくはないけど、特性だから仕方ない」と考えてくれるようになり、やっていなくても、できていなくても妻から怒られる回数が激減しました。

過去に何度か「検査を受けてみようかな」と悩んだ時期がありましたが、そのことを友人に相談すると「人間、誰彼無しに何か持っているよ。気にするな」と言われ「まぁそうか」と検査を受けるタイミングを失っていました。

友人は僕に対して「気にし過ぎるな!」との励ましの思いで、そう言っていくれていると感じていますが、それでも、偶然の産物だったとはいえ、心理検査を受け、要因が明確化することで、特性を抱えた本人が些少ながら「特性」を自覚し、対策を検討できたことで、すごく良い結果になりました。

そういう意味でも、自分の行動で悩んでいる方は検査を受けてみると、今まで知らなかった「要因」に気がつくことができ、対応策が検討できる場合がある、と感じつつ…仮に、友人たちが励ましのつもりで言ってくれた言葉でも、状況によっては「呪いの言葉」になりかねないと実感し、僕も過去の発言を猛省しています。

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2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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