僕は大人になって心理検査を受け、ADHDだと判明しました。現在では、ワーキングメモリ(短期記憶)が低いことが分かっていますが、心理検査を受けるはるか以前から経験則として「思いついたことをすぐに忘れる」という感覚がありました。

そのため、学生時代から思いついたことや思い出したことはすぐにメモに残すことを意識していますが、長年メモを書き続けてきたことで、なんとなく感じている不思議な感覚があります。

それは、メモ帳に書いたメモを読み返してもうまく思い出せないことがあるのに、裏紙に書いた内容が単語の羅列であっても、僕にとっては比較的鮮明にメモを書いた時の記憶も含めて思い出すことができるのです。

おしゃれなメモ帳を使ってみたかった

メモを書き始めた頃は、なんとなくもったいないと捨てずに取っておいたA4サイズの裏紙を四つ切にして、ダブルクリップで止めたものをメモ用紙として使っていました。

文房具が好きで、学生時代は毎日のように文具店に通っていたこともあり、「おしゃれなメモ帳の方が後から読み返しやすいのではないか」と考えて、ロディアやモレスキンに挑戦したことがあります。

しかし、何度挑戦しても、ロディアやモレスキンではなぜかうまくメモが残せず、他にも色々なメモ帳を試してみましたが、どれを使ってもうまくいきませんでした。

おしゃれなメモ帳だと「すぐにメモを取る」という、一見するととても単純な作業が僕にはものすごく難しいようでした。

おしゃれなメモ帳の何がダメだったのか

僕が書くメモは、分かりやすいレイアウトやイラストはなく、ただ「四角い」「かわいい」「くるっと回す」のような、第三者が見ても意味が分からない複数の単語だけが書かれています。

見た目には統一性がないただの単語の羅列ですが、それらはメモというよりは、僕の記憶を呼び起こす引き金(トリガー)として、しっかりと機能していました。

おしゃれなメモ帳だと、どうしても「きれいな文字で丁寧に書きたい」「他人に見せても読みやすいメモにしたい」という気持ちが優先されます。

しかし、それが結果として「思考を書き留める」という本来の目的に加えて、「きれいに書く」というタスクが増えることで、「きれいに書かなきゃ」と考えているうちに、浮かんでいた考えが消えてしまうことがありました。

今思うと、僕が思い浮かべていた「おしゃれなメモ帳」とは、Instagramなどで見かけるトラベルノートのようなものだった気がしています。しかし、イラストやスタンプ、チラシの切れ端がバランス良く掲載されたトラベルノートは、メモ帳というよりも1つの作品という雰囲気があります。

僕は仕事柄、デザイン関連の書籍をよく眺めていますが、それらの書籍に掲載されたトラベルノートをメモ帳の一種と捉え、記憶を呼び起こす引き金としてのメモではなく、きれいな作品として残そうとしていたのかもしれません。

なぜ裏紙は失敗が許されるのか

ADHDの僕は短期記憶が低いため、2秒前まで右手に持っていたものをどこに置いたかすぐに思い出せません。また、脳内では常に色々な考えが浮かんでは消えていますが、思いついたことをすぐに忘れてしまいます。

そのため、思いついたことは体裁などを気にせずにすぐにでもメモとして書き残す必要がありました。その点、裏紙は、

  • 書き間違えても良い
  • 丸めて捨てても良い
  • 書き殴っても良い

と感じるため、思いついた考えを遅延なく書き残すことができます。

先にも述べたように、僕の書くメモはあとから読み返すために機能しているというよりは、記憶を呼び起こす引き金として機能しています。

また、漢字を思い出している間に思いついた考えを忘れる可能性があるので、とにかく大急ぎでメモに残すため、どうしても書き殴ったようなメモになりがちです。

結局、裏紙であっても、おしゃれなメモ帳であっても、「きれいに書く」こと自体、僕には不可能だったように感じています。

小さなメモ帳との出会い

雑貨を作り始めた際に、アイディア帳として手持ちのカバンに入れる小さなメモ帳を探していたところ、たまたま、色々な手帳を試していた頃に購入してあったミニブロックロディア(No.10)に適当なイラストや単語の羅列を書き始めました。

ロディアはおしゃれなメモ帳の代名詞のような存在ですが、ミニブロックロディアはそんなおしゃれさを気にすることなく何でも気軽に描くことができました。

また、ミニブロックロディアにはマイクロカット加工のミシン目がついており、きれいに切り離すことができます。もし、良いと感じるアイディアが書き残せれば、切り離してクリアファイルに入れてまとめ、失敗しても丸めて捨てることができます。

それらに加えて、メモ帳のサイズが小さかったことで、色々な内容をきれいに埋めなきゃいけないというプレッシャーから解放されたのかもしれません。

結果として、サイズが小さく、メモ用紙が切り離せることで、「どうせ大したことは書けないだろうから適当でも良い」という心理的な気軽さを生み出し、ミニブロックロディアを使っていました。

何を使ってメモを書くかも結構重要

20代の頃からメモはボールペンで書いていましたが、ここ数年はゼブラのジェルボールペンか、三菱鉛筆のジェットストリームボールペンを使用しています。

ボールペンに特にこだわりがあるというわけではなく、ADHDの特性によって様々なものをすぐに無くすため、ボールペンを30本あっても、半年後に3本になっていることがよくあります。

そのため、書きやすさと価格のバランスで考えた結果、5本セットや10本セットで大量に購入できるボールペンを選ぶようにしていました。

そんなある日、30本あったはずのボールペンが1本も見つからず、たまたま手元にあった鉛筆でメモを書いたところ、ペン先からの感触が、普段とは違ったことで、メモがより記憶に残った感覚がありました。

その後、色々と試した結果、「HB」よりもペン先が柔らかい「B」「2B」で書くほうが忘れにくいと感じたため、現在は「B」「2B」の鉛筆を利用しています。

鉛筆はボールペンと同じようにすぐに無くすことを想定して、ダイソーやセリアである程度の数をまとめて購入しています。

また、筆箱に入れて持ち歩くほうが便利なのですが、筆箱ごとなくす恐れがあるため、消しゴム付き鉛筆にキャップを付けて、どこでもすぐにメモが書けるように、色々なカバンに無造作に放り込んであります。

なお、すぐに無くすボールペンや鉛筆は、決して異次元に飛ばされているわけではなく、年末の大掃除の際に様々な場所で発見され、30本中20本は無事に帰ってきます。毎年、減った分だけを買い足して、しっかりと使い続けています。

ちなみに、メモ帳はミニブロックロディアから、当初使っていたA4サイズの裏紙を四つ切にした手作りのメモ帳に戻っています。

メモ帳が小さいことで、ボールペンや鉛筆と同じようにすぐに無くしてしまうことが何度もあったため、無くさない程よいサイズを求めた結果、結局、裏紙に戻りました。

メモが整理できない問題を整理せずに対応する

2019年に雑貨を作り始めてから、缶バッジやトートバッグのアイディアのため、メモを書く量が大幅に増加しました。また、メモを書くことが癖づいたことで、何でもかんでもメモとして残すようになりました。

その結果、メモの書かれた裏紙が作業部屋に散乱していました。「いつか役に立つ日が来るかもしれない」と考えて捨てられず、そのため、大量のメモの中から今、見たいメモが探し出せないという問題がありました。

なんとかしなきゃと思いつつ、「整理しよう」「片付けよう」という衝動性がいつ発動するか自分でも分からないため、下手すると数年間は散乱したメモの中で生活をすることになります。

そこで、重い腰を上げて散らばったメモをスマートフォンで撮影し、メモは整理せずに紙袋に入れて保管することにしました。

メモの写真は「Google Photos」で管理していますが、Google PhotosにはOCRと呼ばれる画像内の文字を読み取る機能があります。これにより、画像を検索した際にファイル名、写真の説明、位置情報だけではなく、画像の中の文字も検索の対象になっているようです。

最近のOCRの認識能力の進化は目覚ましく、手書きの文字でも殴り書きでなければ、ある程度は認識できます。それにより、手書きのメモが検索できるようになり、メモを探し出す時間が大幅に短縮しました。

メモを「Google Photos」で管理を始めたことで検索性の良さに気がつき、ここ最近は「Google Keep」「Google Docs」も積極的に利用しています。

それでも、僕にとって、裏紙にメモを書き残すことはメモアプリにはない利点があると感じています。

これからも裏紙にメモを書き続ける

特に、日々の制作業務の作業リストのような短期保管的なメモはメモアプリより裏紙のほうが向いていると感じています。

作業が終わるごとに作業リストに打ち消し線を入れ、全ての項目に打ち消し線が入ると丸めて捨てることで、タスクの管理や作業の進捗状況の視覚化につながっているように感じています。

保管や検索だけで考えるなら、メモアプリのほうが便利性は高いと思います。

しかし、短期記憶が低い僕にとってある考えが浮かんでから消えるまでに数秒しか猶予がなく、スマートフォンのロックを解除し、メモアプリを起動している間に、とある考えは消え去ってしまいます。

そのため、浮かんだ考えを遅延なく書き残すには裏紙が最適だと考え、これからも、裏紙とメモアプリを使いながら、記憶の外部化を続けていこうと感じています。

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2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市で、Webサイトの制作や更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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