9月とはいえ毎日30度を超える残暑の日々の中で新年の話をするのは季節外れすぎる気もしますが、我が家の新年は島根県鹿足郡津和野町にある太皷谷稲成神社に初詣に行くことから始まります。
僕が暮らす山口県にも有名な神社仏閣はたくさんありますが、わざわざ片道で70km以上も移動をして津和野町にある太皷谷稲成神社に行くのは、個人事業主として大工をしていた妻の父親が太皷谷稲成神社に初詣に行っていたことに由来しています。
そんなこともあり我が家では、仕事や子供の入学テスト、車の買い替えた際の祈祷なども太皷谷稲成神社に行っています。
夏も太皷谷稲成神社に行くようになった
夏の参拝を初詣に倣い、夏詣という場合もあるようですが、2016年頃から初詣だけではなく、8月も太皷谷稲成神社に夏詣に行くようになりました。
決して我が家が信心深いわけではなく、仕事に行き詰まったことがきっかけだった気がします。
といっても当時はそこまで深刻なものではなく「最近、仕事の依頼が減ってきた気がする。初詣だけでは神様のパワーが足りないのかもしれない」と考えて、神様に商売繁盛を念押ししようという私利私欲にまみれた動機でした。
夏詣を始めて気がついたこと
三賀日の太皷谷稲成神社は、「神頼みの人だらけだけど、神様は全員の願いを聞き漏らさずに対応できるのか?」と思うほどに参拝者でごった返しています。
車を臨時駐車場に停めるのに1時間並び、参拝するために1時間並び、お守りを買うために1時間並び、という感じでした。しかし、8月の太皷谷稲成神社は参拝客がいないわけではありませんが、三賀日に比べるといないに等しい状態です。
つまり、賽銭箱にお金を入れて、手を合わせながら必死で繰り返し願えば神様に聞き入れてもらえるチャンスが高まりそうな雰囲気さえ漂っています。
年始に返納し忘れた古いお札を返納できる安心感
初詣に行く際に前年に買った縁起熊手やお守りを神社境内の古札納所に返納するために紙袋に入れ、出発時に忘れないように玄関に置いておくのですが、なぜか毎回持って行き忘れます。
そこまで信心深いわけではないものの、日本人としての幼少期より染み付いた何かしらの感覚によって「古いお札は1日でも早く返納したほうが良い気がする…」と少しソワソワした気分になります。
でも、夏に太皷谷稲成神社に行くようになったことで「初詣の際に古いお守りを返納し忘れても夏に持っていけば良い」という安心感が生まれました。
1度始めると止められない夏詣
「最近、仕事の依頼が減ってきた気がする」と神様のパワー不足を感じて勝手に始めた夏詣ですが、当初は「効果を感じなければ止めれば良い」程度に考えていました。
確かに効果を感じる月もあれば、効果を感じない月もあります。しかし、効果を感じない月であっても「仕事量は少ないけど、もしかしたら神様のおかげでこの仕事量で済んでいるのかもしれない…夏詣をしていなければもっと仕事が少なかったのかもしれない…」と考えることで、止めようにも止められなくなっている現実があります。
そして、夏詣に行くことで自分の運気を上げるというある種の験担ぎやルーティンのようになっているような感覚もあります。
気楽な気分で始めた夏詣でしたが、まるで、どんなに速く移動をしても、お釈迦様の掌から出ることができなかった孫悟空にでもなったような気分です。
津和野町は何かとちょうど良い
僕は車の運転で限りなくしたくないのですが、車の運転が好きな妻にとって津和野町までの運転はドライブに丁度良い距離のようです。
また、赤天や源氏巻など、ここでしか楽しめない名物を食べながらの殿町通りの白壁街と掘割を泳ぐ鯉、津和野カトリック教会などを観ながらの散策は幾度となく津和野に来ていてもちょっとした旅行気分が味わえます。
僕はどこに行ってもうっかりカレーライスを食べる傾向にありますが、初詣で津和野を訪れる際の昼食は沙羅の木で赤天カレーを食べることが多いのですが、夏詣の昼食は国道9号線沿いの飲食店や道の駅などその時の気分で選んでいます。
今回は「道の駅 津和野温泉 なごみの里」の「レストラン あかね雲」でカツ丼をいただきました。
これは自分自身への備忘録も兼ねていますが…あかね雲は僕にとって量が多いため、空腹時のテンションで調子に乗って大盛りを頼んではいけません。
もし、うっかり大盛りを頼むと「はなまるうどん」で注文の際に「あれ?俺ってどのサイズだっけ?並だっけ?中だっけ?」と悩んだあげく「中」を頼み、お盆に乗せられたうどんを見て「しまった!小で良かったんだった!」と毎回後悔している轍を踏むことになります。
また、毎年、この時期になると山口県山口市、宇部市、萩市、防府市、美祢市、山陽小野田市と島根県の津和野町を舞台にしたリアル宝探しを楽しんでいますが、今年の僕ら家族の「ななゆめアドベンチャー~復活したデーモンと勇者の試練~」は津和野町から始まりました。
また、「ななゆめアドベンチャー」と並行して、今年から「やまぐちのナゾさんぽ」から「山口ふくだるま開運さんぽ」にリニューアルした謎解きイベントも併せて始まりました。
今年の「ななゆめアドベンチャー」から、各市での謎解きの報告は指定された報告場所ではなく特設サイトから行う仕組みになりました。そのため、報告場所の閉館時間や販売業務の邪魔になっていないかなどを気にする必要がなくなった反面、デジタル化による人間同士の交流の減少も感じています。
りんごだけじゃなくて梨もある
山口県から島根県の津和野町に行くまでに山口県山口市阿東(あとう)という場所を通過するのですが、阿東地区は西日本最大級のりんごの産地とされており、地区内にはりんご狩りができる観光農園が点在しています。
どことなく山口県県内でも阿東といえばりんごというイメージが定着しているようにも感じますが、実は阿東地区には、りんご農園と同じように梨農園も点在しています。
10年ほど前にふとしたことがきっかけで山口県山口市阿東生雲にある「三興園(さんこうえん)」という梨農園をされている方と知り合い、毎年梨狩りでお世話になっています。
忙しい現代において、お中元やお歳暮、年賀状は何かと日本の悪しき習慣と言われがちですが、僕個人としてはこれらは日頃からお世話になっている方への感謝を示す行事と考えており、今でも僕が人生で心からお世話になったと感じている方に送り続けています。
ここ数年はお中元の贈り物として三興園の梨を贈っており、太皷谷稲成神社の参拝だけではなく、三興園での梨狩りや生産者の方とのちょっとした会話も楽しみに1つです。
自然を相手にする大変な仕事のためここ数年に限った話ではないと思いますが、生産者の方の話では、ここ数年は夏の気温が高すぎることや雨量が多すぎたり少なすぎたりと梨の育成で苦労が絶えないようです。
また、近年は全国で熊の出没が多発がしていますが、その例に漏れず、阿東でもツキノワグマの目撃情報があり、時折ニュースで報道されています。
例年ならこの時期に、真夏でも朝晩には羽織るものが欲しいくらいの涼しさが体験できる「十種ヶ峰オートキャンプ場」に行くのですが、今年は熊の出没を警戒して断念しました。
何はともあれ、農業の大変さを全く理解していない素人ですが、生産者の方々に1日でも早く平穏が訪れることを願わずにはいられません。
最後に
義父は僕と妻が知り合う以前に亡くなっており確認のしようがありませんが、義父がわざわざ自宅から遠く離れた太皷谷稲成神社まで初詣に行っていたのは、義父なりの験担ぎだったのかもしれません。
他の個人事業主の方は分かりませんが、僕はデジタルの世界で仕事をしていますが、験担ぎやルーティンを意識しています。ADHDにより短期記憶が低いことと、メニューで悩むことが苦手な僕は、どの飲食店でも高確率でカレーライスかカツ丼を食べています。
それが後に「ここに行って帰りにカツ丼を食べたら仕事を依頼された」という事実が生まれると、「カツ丼を食べると仕事が依頼されやすくなる」という僕の験担ぎが誕生します。
その結果、気軽に始めた夏詣がやめられなくなったり、仕事の依頼があるかもしれないと、昼食にカレーライスやカツ丼を食べたり、自分自身の努力だけではどうにもならないものに対して必死で抗っているのかもしれません。

