僕はスター・ウォーズが好きです。スター・ウォーズ旧三部作(4、5、6)、新三部作(1、2、3)、劇場版やTVシリーズのクローン・ウォーズは何度も鑑賞しています。でも、名作と名高い「ローグ・ワン」「マンダロリアン」「キャシアン・アンドー」や、ファンの間で評価が分かれる続三部作(7、8、9)はいまだに鑑賞していません。

その理由として、様々な作品が登場することでスター・ウォーズの世界が広がることで、世界観が複雑になっていることが影響しているように感じています。

物語に深みが増す一方で…

スター・ウォーズには様々な惑星やキャラクターが登場し、スター・ウォーズの世界観の広さを感じさせます。当初、脇役だった登場人物が、続編やスピンオフ作品で主人公になったり、過去を掘り下げられたりすることで、さらに世界観が広がります。

特に新三部作で明らかになったボバ・フェットはジャンゴ・フェットがカミーノでのクローン・トルーパー製造のための遺伝子を提供する見返りとして生み出されたという設定は驚きがありました。

また、クローン・トルーパーは同一遺伝子を持ったある種の映画を盛り上げるためのやられ役だと認識していたものの、個体ごとに差異があり、また、一部のクローン・トルーパーはコーディやレックスなどの名前で呼ばれていることで「スター・ウォーズ世界観をもっと深く知りたい」と感じるきっかけになりました。

これは僕の年齢的な問題もあるように感じていますが、若い頃はどんどん広がる世界観にワクワクしていましたが、年齢とともに複雑になる世界観についていけなくなるというよりも、新作を見るたびに「あの設定ってどういう事?最初から見直したほうが良い?」と感じることが増え、世界観を理解したいという欲求よりも、面倒くさいが勝ってしまい、新作に手を出せずにいるように感じています。

敵対する関係性が分かりやすかった

旧三部作は基本的に善側のジェダイと悪側のシスを主軸に、絶対的な悪としての帝国軍と戦う反乱軍の活躍に感情移入しやすい物語になっています。その流れを軸にボバ・フェットやウェッジ・アンティリーズなど様々なキャラクターが作品に深みや彩りを加えています。

今でこそ、ポケットモンスターシリーズやトイ・ストーリーのバズ・ライトイヤーと敵対するザーグが実はバズ・ライトイヤーの父親だった(映画「バズ・ライトイヤー」では設定が異なります)など、最後に倒すべき相手が主人公の関係者という設定はよく見かけます。

しかし、1980年に公開された「帝国の逆襲(5)」で悪側であるダース・ベイダーが善側でルーク・スカイウォーカーに自分が父親であることを名乗ったことは当時大きな衝撃があったのではないかと感じています。そのことがさら物語に深みを与えたと言えそうです。

敵にも敵なりの事情がある

現実世界での敵対関係は傍から見たら「こっちが悪い」「あっちが悪い」と感じていても、互いに互いの事情や都合で行動しており、必ずしもどちらかが善でどちらかが悪と断言することができません。だからこそ、映画の中の勧善懲悪は分かりやすく、深く考えずに楽しむことができました。

しかし、多様性や流行などにより、エンターテイメントに現実の要素を取り入れる動きは一般的になりつつあるようですが、その結果、善と悪の衝突ではなく、善にも悪い部分があり、悪にも良い部分があるような演出が目立つように感じています。

「敵にも敵なりの事情がある」との設定は物語に深みを与える可能性があります。しかし、その結果、物語が「ダース・ベイダーが暗黒面に落ちたのは周囲の環境の影響が大きい」に主軸が置かれ、ダース・ベイダーの被害者性が強調され過ぎると、そんなダース・ベイダーを倒そうとしているルーク・スカイウォーカーに対して感情移入しにくくなるのではないかと感じています。

新規ファンへの影響はどうなんだろう

僕がスター・ウォーズに興味を持ったのは1995年頃で映画は旧三部作しか公開されておらず、ファンの間では黒歴史として名高いドラマ「スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル」や特定のキャラクターのスピンオフ小説などはありましたが、正史扱いではなかったため、内容を知らなくても影響はありませんでした。

新三部作は1999年から2005年にかけて公開されましたが、この時点でもスター・ウォーズの世界観が大きく広がるというよりは、「新たなる希望」が公開された1977年から始まったアナキン・スカイウォーカーの人生の叙事詩的物語との側面があり、続編を期待する気持ちはありませんでした。

スター・ウォーズをこれから楽しんでいく若い方には、これらの全てのシリーズを観る気力や体力はあるだろうし、僕が作品ごとにDVDやBlu-rayを購入していた時代に比べると、「Disney+」に加入すればサブスクリプションで比較的お得に観ることができます。

それでも、ここまで広がった世界観を把握し、そしてこれからも広がり続ける世界観についていけるのだろうかと考えずにはいられません。

世界観はまだまだ広がりそう

旧三部作の「新たなる希望」は1977年に公開され、3作目の「ジェダイの帰還」は1983年に公開されました。新三部作の「ファントム・メナス」は1999年に公開され、3作目の「シスの復讐」は2005年に公開されました。旧三部作、新三部作ともに6年を要しました。

続三部作の「フォースの覚醒」は2015年に公開され、3作目の「スカイウォーカーの夜明け」は2019年に公開されたため、旧三部作や新三部作と同様にそれなりの時間を要しています。しかし、2012年にウォルト・ディズニーがルーカスフィルムを買収したことで状況が大きく変わったように感じています。

まず、2008年から放映が始まったドラマ「クローン・ウォーズ」が続三部作の製作が決定したことによりシーズン5で打ち切りになりました。ただし、2014年にシーズン6(クローン・ウォーズ ザ・ロスト・ミッション)、2020年に完結編になるシーズン7が放映されています。

2014年に「反乱者たち(アニメ)」、2018年に「レジスタンス(アニメ)」、2019年に「マンダロリアン」の放映が始まりました。また、2016年に「ローグ・ワン」、2018年に「ハン・ソロ」が公開されました。その後も2021年に「バッド・バッチ(アニメ)」「ボバ・フェット」、2022年に「オビ=ワン・ケノービ」「キャシアン・アンドー」、2023年に「アソーカ」、2024年には「アコライト」「スケルトン・クルー」、2025年には「マンダロリアン・アンド・グローグー」「モール:シャドウ・ロード」が控えています。

映画だけ観ていても基本的な話の流れは把握できますが、作品が増えると世界観が広がるスター・ウォーズでは、深く知るにはドラマやアニメも観たくなるのがファンとしての心情です。

しかし「クローン・ウォーズ」のシーズン5以降を観ていない僕にとって映画以外に、アニメとドラマだけで100話以上が積まれた状態になっており「よし観るぞ!」となる日がやってくるのか…と考えるとめまいがしそうです。

過去の作品も定期的に改変が続く

旧三部作はこれまでに何度か映像に変更が加えられています。

最初の変更は1997年に「特別編」として行われました。特別編はスター・ウォーズの20周年を記念して、当時のデジタル技術によって画質や音質が大幅に改善されました。また、各場面の演出が派手になったり、公開当時はカットされたシーンの追加など大幅な変更が行われました。

その後、2004年に発売された「スター・ウォーズ トリロジーDVD-BOX」のタイミングで変更や修正が加えられ、2011年に発売された「スター・ウォーズ コンプリート・サーガ ブルーレイBOX」でも変更や修正が加えられました。またこのタイミングで長年「ジェダイの復讐」と呼ばれていた第6作目が「ジェダイの帰還」に変更されました。

最近では2020年に「スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ 4K UHD コンプリートBOX」の発売に併せて変更や修正が加えられています。

これらの変更は、全体の物語の流れは大きくは変わらないものの、現在では1977年の公開当時の映像で映画を楽しむのは不可能とすら言われています。変更を加えられるたびに解釈が変わるとしたら、変更や修正がされるたびに世界観を勉強し直すのは…との心境です。

昔からのファンの気持ち

2011年にアメリカで公開された「ピープルVSジョージ・ルーカス」という映画があります。内容はスター・ウォーズの熱狂的なファンへのインタビューを中心にファンの悲喜こもごもを楽しむことができます。

ジョージ・ルーカスを神格化するファン、ジョージ・ルーカスをスター・ウォーズ関連のグッズで稼ぐおもちゃ屋と呼ぶファンなど、多くはスター・ウォーズの中毒性に取り憑かれた方々の心の叫びなような内容ですが、文句を言いつつも結局は「スター・ウォーズが大好き!好きなものは好き!」と感じる映画ともいえます。

最後に

僕が「クローン・ウォーズ」以降、スター・ウォーズから離れてしまった最大の理由は、長男が生まれ、Webサイトの制作をする在宅の個人事業主になったことで、子育てと仕事に多くの時間を取られ、映画やドラマを楽しむ余裕がなかったことが最大の要因です。

そんな子供たちも中学生や高校生になり、子育ては一段落せずとも、外出時に子供たちがついてこないことも増え、少しずつ自分だけの時間を楽しめるようになりつつあります。

そんな中でふと「そろそろスター・ウォーズを楽しもうか」と感じたものの、スター・ウォーズは僕が10年程離れている間に想像していた遥か彼方の銀河系まで世界観が広がっていました。

こんな事なら、続編だ!再始動だ!リブートだ!新三部作だ!と声高らかに新作を公開しては興行収益の不振により続編の製作が中止になり、その都度、過去作が再評価されているターミネーターシリーズを追いかけていた方が、精神衛生的には健康だったかもしれません。

そんなことを感じながら、そろそろ続三部作ぐらいは観ておきたいと考えているところです。

アバター画像
3050grafix

2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

こんな記事も読んで欲しい