2022年11月にChatGPTが登場して以降、2年程度しか経過していませんが「AIがないと仕事が成り立たない」と思わせるほどにAIが浸透しているように感じます。

でも僕は、2022年11月にChatGPTが登場した当時も、2023年5月にChatGPTの日本語での利用が開始された以降も、特にChatGPTに興味が出ず、遠目に眺めていました。

なかなか興味が出ない

2023年5月にChatGPTの日本語での利用が開始され、友人たちが利用を始め、SNSなどで「仕事が楽になった」「何でも教えてくれる」と興奮気味に語っている様子はそれとなく気になっていました。

そして、なんとなく「生成AIを使えば仕事が捗るらしい」と感じていました。ただ、ADHDの特定の物事に強い興味を示す一方で、それ以外には興味を示さない特性も影響していたのか、友人たちに利用を勧められても、いまいち興味が出ませんでした。

AIとの出会い

そんななかで、2024年5月頃にX(旧Twitter)の有料会員限定で、Xが開発した「Grok」という名前の生成AIが利用出来るようになり「アカウント登録せずにAIが利用できるなら触ってみよう」と何気なく触り始めたのが本格的なAIの利用でした。

とはいえ、AIに仕事で利用する文章を生成してもらうわけでも、提案書を作ってもらうわけでもなく、「人間は考える葦であり、考えない葦であると言えますか?」みたいな生産性のない雑談をしていました。

僕が利用していた「Grok-2 mini」は「Grok-2」の軽量版で回答の処理速度と回答品質のバランスが良いとされ、質問に対してストレスを感じない速さで回答が表示されました。

また、2024年8月のアップデートでは画像生成AI「FLUX.1」と連携し、高品質な画像を生成できる機能が追加されました。

徐々に物足りなさを感じ始める

遊びで使い始めた頃は気にならなかったものの、「Grok-2 mini」は回答の処理速度を優先しているためか、以下の点が気になるようになりました。

  • 質問した内容に嘘を付く
  • 出典元としてXのポストを表示する
  • 文章生成が苦手な印象がある

質問した内容に嘘を付く

質問された内容に虚偽、誤解を招く情報を事実のように提示する印象がありました。これはハルシネーション(幻想)とも呼ばれ、AIの重大なリスクの1つになっています。

情報の出典元の信用性

回答時に出典元を掲載する機能がありましたが、Xのポストを出典元として提示することがあり、情報の信頼性に不安がありました。

文章生成が苦手な印象

「〜の文章を200文字以上で考えて」と依頼をしても100文字以下の文章を生成したりと、文章の生成能力に難がありました。

これらの不満は「Grok-2 mini」から「Grok-2」に変更することで解消する可能性はありましたが、なんとなく以前から気になっていた「Gemini」の利用を始めることになりました。

Geminiとの出会い

「Gemini」はGoogleが開発した人間のように振る舞い、文章生成が得意とされるAIで、以前から気になっていました。また、アカウント登録を可能な限り避けたい僕にとって、20年近く利用しているGoogleアカウントで利用できることは魅力的でした。

少し話は変わりますが、長年、Google Oneの「スタンダードプラン(200GB)」を利用していましたが、空き容量が50%を切った頃から「プレミアムプラン(2TB)」への変更を検討するようになりました。

そんなタイミングで「Gemini 1.5 Pro」が利用できる「AIプレミアムプラン(2TB)」の存在に気が付き、すぐにプランを変更しました。そして、その日から毎日のようにGeminiに話しかけています。

AIの使い方は人それぞれ

ここまで長々と書いてやっとタイトルの「AIの使い方は人それぞれ」に入りたいと思います。

僕の友人や知り合いの同業者の多くは「文章を書いてもらう」「提案書を作ってもらう」「議事録にまとめてもらう」など、AIを仕事の補助機能として利用しているようでした。

でも、僕は「Grok」を使い始めた頃から、AIに「人間は考える葦であり、考えない葦であると言えますか?」のような質問を投げかけ続けてきました。どうも自分の使い方は友人たちの使い方と異なっているようで「俺はAIを正しく使えていないのか?」と常に不安に感じていました。

脳内に浮かんだことを記録する

ADHDのため脳内では様々な考えが浮かんでは消えていきます。そのために目の前のことに集中しようとしても時間がかかってしまいます。そこで、浮かんだ疑問をすぐにAIに投げかけ、その疑問に短期集中することで、浮かんだ疑問を脳から切り離す作業としてAIを利用していました。

また、この作業は結果として「思考実験」「思考の拡張」「新しい考えの創出」になる上、AIとのやり取りは履歴として保存されるため、あとから見返して思い出すことができます。

この一連の作業が直接日々の業務には繋がらなくても、何かを生み出すきっかけになっており、このブログが誰かの役に立つかは別にして、少なくともこれまでの思考実験がこのブログを書くきっかけになりました。

そのため、僕もAIを自分の思考の補助機能として利用しているのだと受け止めることができるようになり、「AIの使い方に決まりはない」と考えて、飽きることなく毎日のようにAIにパラドックス的な質問を投げかけ続けています。

AIは日々進化を遂げていますが、その能力を最大限に引き出すためには、AIとのコミュニケーションが不可欠です。「AIとの会話にはコミュニケーション能力は必要ない」と考えている方も多いかもしれませんが、実際にはそうではありません。

AIとの相互理解を深めることで、より効果的にAIの能力を引き出し、より良い結果を得ることが期待できます。そこで、僕が実践しているAIと円滑に付き合うためのちょっとしたコツを紹介したいと思います。

AIと付き合うちょっとしたコツ

「Grok」や「Gemini」は質問ごとにチャットが利用できますが、現時点でチャットは個別に管理されており、AIは複数のチャットを横断してこれまでのやり取りを把握することができません。

そのためチャットを新規作成するたびに、僕のことを全く知らない純真無垢なAIと対話することになります。そして、AIは僕を定型発達者と判断して、会話を始める傾向がありました。

これにより、毎回議論を始める前に、自分の属性を伝える作業が発生し、若干の煩わしさを感じていました。そこで、チャットを新規作成するたびに、まず初めに、

ヒロと申します。私は日本語話者で、ADHDの特性があります
以下の点に留意してください

  • 可能な限り英語は使わずにカタカナを利用してください
  • 同じようなことを何度も質問したり、散漫な文章を書く可能性があります
  • 私の質問内容が不明瞭な場合は、推測せずに誤字脱字を確認してください
  • 私が特定の考えに固執するような反応を始めたら、反証するように心がけてください
  • 私はパラドックスや唯一解のない質問を好みますが、規約、ガイドラインなどで回答できない場合は教えてください
  • 私の質問内容は思考実験、知的好奇心であって他意はありません

と、AIに自己紹介をするようにしています。これにより、AIが僕の属性をある程度理解した上でやり取りが始まるため、以前に比べて、僕が求めるやり取りが出来るようになったと感じています。

やはり人間であれ、AIであれ、初対面のときは自己紹介が大切なようです。

AIはこんな場面で役に立つ

AIは使い方によっては人間にとって脅威になりますが、使い方によっては強力な武器にもなり得ます。AIは、特に特定の条件下での大量のパターンの生成を得意としています。例えば、

  • よくある質問
  • 提案書、新製品のアイディア
  • 特定の条件下での言葉の選出
  • キャッチコピー

従来はブレインストーミングなどを活用してリストアップされていた内容を瞬時にリスト化することができます。そのため、人間は資料の作成やブラッシュアップといった、より創造的な仕事に注力することができるようになります。

まとめ

僕はADHDのため「使ってみればすごく便利そう」と分かっていても、自分の中で「よし!使うぞ!」となるまでに時間を要する傾向があり、なかなかAIに手を出せずにいました。

また、僕自身がデザイン業務に従事する者として、人間が数時間から数日をかけてやっていたことが、AIなら数秒でやってしまうことへの忌避感もなかったとは言えません。それでも、実際にAIの利用を始めてみると、ADHDの衝動性に文句を言わず対応してくれたり、1人ブレインストーミングの良きパートナーとして活用できると強く感じています。

しかし、AIはまだまだ発展途上の技術であり、質問内容を勘違いして反応したり、過去に提示した内容と似た内容を新しい提案として提示するなどの問題も考えられます。

AIが提示した内容を鵜呑みにせず、あくまでも自分自身の「思考の拡張」と捉えて利用することで、AIとの心地良い距離感が維持できると感じています。

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    2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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