田舎に引っ越しをして思うこと

2022年11月24日
2024年02月26日
雑記

僕と僕の家族は、妻の「実家で母親と共に暮らしてあげたい」との思いと、僕が幼少期から喘息で苦しんでいたため「子供を少しでもきれいな空気のところで育ててあげたい」との思いから、2009年に長男が生まれたタイミングで大阪府から山口県山口市に引っ越しをしました。

暮らしている場所は、世間でいう所の限界集落などの「ど田舎」ではありませんが、65歳以上の高齢者が地区全体の50%に迫る状況で、最寄り駅は家から徒歩20分、電車は1時間に1本あるかないか、電車、バスともに22時台には運行が終了し、車がないと全く生活ができない環境のため、世間の方が思う「田舎」で間違いないと思います。

そんなこんなで、田舎で暮らし始めて、今年で13年目になります。

「都会より田舎の方が良い!」「田舎より都会の方が良い!」との議論は、別の方々にお任せするとして、僕が「田舎」で暮らし始めて15年間の経験と思いとまとめてみたいと思います。

田舎で暮らし始めたメリットとして、田舎に引っ越しされた多くの方も仰っていると思いますが、何より「空気がきれい」なことだと思います。大阪で暮らしていた頃は、マンションのすぐ隣に都市高速があったこともあり、ベランダに洗濯物を長時間干すと黒い煤が付いたり、気管支拡張剤が手放せない生活を送っていました。

しかし、引っ越し後は、寒暖差の大きい冬、梅雨の時期など、喘息が出やすい時期に、気管支拡張剤を使用することが稀にある程度で、気管支拡張剤をお守りのように持ち歩くことがなくなりました。気がつくと気管支拡張剤の使用期限が切れていることもしばしばです。

夜には少しばかりやんちゃな方々の車の爆音が聞こえることがありますが、それ以外は静かで星がよく見えます。夏や秋のカエルや虫の鳴き声がうるさく感じるほどです。

また、妻の実家は本間サイズになっており、部屋が広く、漫画を何冊買っても置く場所があり快適そのものでした。そして、毎月払い続けていた家賃、駐車場代から解放されたことで、心の負担が解放されたことは何よりも大きいものがありました。

パッと思いつく「田舎での暮らしの良いところ」はこんな感じです。

以下に書く内容は、決して「田舎での暮らしの悪い良いところ」ではありませんが、それなりに色々あったことを、思い出しながらまとめてみようと思います。

「田舎」に引っ越し後、最初の3ヶ月の生活は気楽なものでした。

引っ越し後は、個人事業主としての独立も視野に入れていましたが「コネなし、金なし、仕事なし」の状態で、仕事を受注できる当てもなかったため「給料があった方が安全に違いない」と判断して、毎週のようにハローワークに通いましたが、求人のほとんどが「美容師」「介護職」で、僕が大阪でやっていた仕事の求人が全くありませんでした。そして、どの業種も未経験な上に、就職するにしても車がないと通勤すらできない状態でした。

その頃、妻の所有していた軽自動車が1台ありましたが、僕が仕事で車を使う場合、車を購入する必要がありました。

ただ、当時は中古車を買うお金はなく、また幼少期から公共の交通機関での移動を当然とする環境で育ったため、僕としては可能な限り車の運転を避けたいという思いが心のどこかにあり、電車での通勤が可能な仕事に絞って探すとなると、ほぼ「求人がない」に等しい状態でした。

結局、引っ越しから半年後に勢いだけで、在宅の個人事業主になりました。
個人事業主になってからの数年間、そして、今も厳しいものがありますが、それは人様に語るような内容でもないので…

いざ、個人事業主になってみると固定資産税、住民税、国民健康保険の支払いが押し寄せ…また、家族が増えたことで、妻の軽自動車を処分し、人生で初めて家族で乗るための車を購入したために、自動車税、車検、ガソリン代などの維持管理費用に追われることになりました。それらに加えて、毎月の様々な支払いがやって来ます。

お金の話は別にして、まずなにより「田舎ではご近所の方から野菜がもらえる」と思っている方も多いかもしれませんし、引っ越すまでは、僕もそんなことを思っていた1人でしたが、そんなことはまずあり得ません。

僕は家で仕事をしているので、仕事が詰まってくるとほとんど家から出ることがなくなるため、近所の方からすると、いるのかいないのか分からないような「透明人間」のような存在になります。

野菜をもらえるどころか、近所を歩いていても通り過ぎる人たちに「あいつはどこの人間だ…」というような目で見られますが、嫌々ながらも地区の自治会の役員を引き受け、多くのご老体と会話をするようになったことで、ついに!野菜、チヌ(クロダイ)、タコがもらえる存在となりました。

今では、近所をポストに請求書を投函するために歩いていても、往復で5分で済むような距離でも、数人の方に声をかけられ、皆さんと会話をして、結局30分ぐらいかかることもあります。

世間的に僕は「Iターン」だそうですが、僕としては「妻についてきターン」と自覚しており、僕なりに山口県を終の住処と決めて引っ越しをしてきたつもりです。

ですが、ずっと自分の居場所がないような感覚を抱えていました。
人間は家族以外の他者から必要とされるようになって、初めて自分の居場所のようなものを実感するのかもしれません。

今、僕は自分の居場所を見つけたのかもしれません。
きっと、これからもこの「田舎」で暮らしていくのだと感じています。

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